「東京家族」 気が早いが今年の一番かも

監督 山田洋次

<あらすじ>

瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、開業医の長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。
しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させる。
そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、帰る前にせめてと旧友に会いに行き、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。
二日酔いで落ち込む周吉とは対照的にとみこは上機嫌で幸一の家に戻ってくるが。

<感想>

実は山田洋次は苦手な作家なのだ。作品を観て、そんなに悪くないとは思うのだが、どうも世評の高さほど感心しないことが多い。

この作品は小津安二郎(エンドロールに献辞が出る)の「東京物語」を下敷きに作られているということは事前に知っていたのだが、冒頭の数分を観ると台詞のテンポまで小津流でちょっとおもしろい。子どもたちに悪意はないのだが、結果的にはじゃまもの扱いされてしまう老夫婦の寂しさがゆったりした時間の中で描かれ、心に沁みるものがある。しかしそれがずっと続くので、ややかったるく感じてくる。いったいいつの時代なのかと思ってしまうが、風景を見れば現代の東京に間違いない。

ところが蒼井優が登場する辺りからドラマが急に展開しておもしろくなると同時にハンカチが手放せなくなる。うまい役者を揃えているというだけではなく、それを生かす演出の力なのだろう。特に蒼井優のナチュラルな存在感は見事。

今年は始まったばかりなのに、もうこの作品が一番なのではないかと思える。

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  • 『東京家族』

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